画家 古川通泰さん
──逝去を悼んで──
平成21年5月に開催を予定している文化・歴史塾において、
「山里と芸術活動」をテーマにお話を伺うことを楽しみにしておりました画家の
古川通泰さんが3月6日に逝去されました。
昨年、創作への情熱に駆られながら、ご自身の病気療養に専念された後、前向きに健康回復を目指す活動を再開されて間もなくのことであり、残念でなりません。
八尾ふるさと発見塾は、ここに、哀悼の意を表し、ご家族のみなさまにお悔やみを申し上げますとともに、故人のご冥福を心からお祈りいたします。
享年は68歳と伺っております。
八尾町桐谷の人々と自然をこよなく愛され、
陶芸家であるご子息の歩さんとともに、旧桐谷小学校を改造したアトリエを拠点に、
これからますます個性豊かな創作活動に打ち込まれることを楽しみにしていただけに、
ふるさとにとって掛け替えのない人を失った悲しい気持ちがこみ上げてきます。
在りし日の古川通泰さん(桐谷のアトリエにて)
作品のモチーフと、お人柄
私たちには、古川さんが一連の作品を通して伝えたかったモチーフは、
「山里の心象」をベースとする「庶民が生活の中で慈しんできた日本人の心」ではなかろうかと考えます。
厳しい自然や辛(つら)い生活のなかで、それでも肩を寄せ合いながら生き抜こうとする人びと。
苦しさと絶望のなかから、それでも立ち上がる逞(たくま)しさと優しさ。
日本人が失いつつある心情を、哀惜(あいせき)を込めて、画布に顕(あらわ)したのではないかと。
実際、古川通泰さんの作品のなかで最も強く印象に残るところは、
こんもりと盛り上がった象徴的な山の姿と朱色の巧みな配置です。

「里の秋」
初対面の者にでも率直に気安く応対される人柄、底抜けに人懐っこく温かい心配りは、画家として自立されるまでに体験された類い希な苦労の数々を触媒として、里の民の心をあのような形と色合いに表現することになったのだろうかと思います。

「おんば」
しかし、このことをご本人にお伺いすることも叶わなくなりました。
手元に、2007年10月26日から2008年1月11日まで、ベルリン日独センター主催で開かれた「古川通泰・屏風展 里の四季」の出品作品集がありますが、
これを眺めながら違和感もなく古川さんの絵に融け入る不思議な情感を繰り返し確かめています。

「里山」

「村の衆」
そして想うこと
もう二度と、古川通泰さんからお話を聞けなくなりましたが、
桐谷など、ふるさとの山里を訪ねて、古川さんが追い求めた日本の心を尋ねることはできます。
八尾ふるさと発見塾は、このことをテーマとする活動に今後とも力を尽したいと思います。

「夏の流れ」
古川通泰さん、空の上から、これからもずっと世界のふるさとを見守っていて下さい。ありがとうございました。
八尾ふるさと発見塾
(責任記)山毛欅林